JAXA、“空飛ぶ魔法瓶”で国際宇宙ステーションからの試料回収に成功

小型回収カプセルに搭載した断熱容器の見本を持つ、タイガー魔法瓶の中井啓司さん(左)ら=22日、大阪府門真市
小型回収カプセルに搭載した断熱容器の見本を持つ、タイガー魔法瓶の中井啓司さん(左)ら=22日、大阪府門真市【拡大】

  • 断熱容器の仕組み

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、国際宇宙ステーションの実験試料を載せて地球に帰還することに日本で初めて成功した小型回収カプセルを、茨城県つくば市の筑波宇宙センターで報道陣に公開した。

 国際宇宙ステーションからの試料回収に成功した小型カプセルで、重要な役割を果たしたのが、タンパク質を低温に保って運ぶ断熱容器だ。開発したのはタイガー魔法瓶(大阪)のチーム。既存の技術を組み合わせ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が示した主な条件(1)セ氏4度を4日以上保つ(2)強い衝撃に耐える-をクリアし“空飛ぶ魔法瓶”を作り上げた。

 JAXAから依頼を受け、具体的な検討に乗り出したのは2015年12月ごろ。同社でも宇宙に関連する製品は初めてで、社内には不安視する声もあったという。

 魔法瓶は容器の壁を二重にして真空の層を設けることで、熱の出入りを抑えている。だが市販品では、望みの温度を保つことができるのは、せいぜい数時間だ。

 チームは冷気が蓋の部分から逃げることに着目。蓋の代わりに、もう一つの「魔法瓶」で容器をすっぽり覆うことを思いつき、試行錯誤の末、保温効果を飛躍的に上げる構造を編み出した。

 壁も厚くし、地球の重力の約40倍にも相当する衝撃に耐えられるようにした。

 開発を担当した同社の中井啓司さんは「培った技術を一般商品にも転用したい」と意気込んだ。