商品や市場拡大 地元・業界を牽引
東京五輪が開催される2020年に創業40年を迎えるクロスフォーは、宝石の輸入販売会社として創業。市場環境の激変などにもまれる中でメーカーへの転身を果たすとともに、商品や市場を広げ、地元や業界を牽引(けんいん)する公開企業にまで発展した。
◆宝石輸入販売会社として創業
土橋秀位(ひでたか)氏はクロスフォーが本社を置く山梨県の出身。「実家は山の中の田舎で、甲府は近くにある大都会だった」(土橋氏)という。その甲府を含めた山梨との関わりが、その後の土橋氏にも多大に影響していくことになる。
土橋氏は海のない山梨で育った反動からなのだろうか、大学は海洋学部に進学した。
「学生時代は、海洋資源の探査などを学びました。その一方で、世界を放浪するような仕事に魅力を感じるようになりました」
土橋氏は、放浪先の東南アジアなどでついつい宝石の原石に目を奪われた。
「これを調達して持ち帰り、郷里である甲府の宝石職人に売ればビジネスになる」と考えたのだ。そのために、大学卒業後は米国に渡って宝石学を学び、世界的な鑑定資格も取得した。そして1980年、クロスフォーの前身となる宝石輸入販売会社、土橋宝石貿易を甲府で創業した。
趣味と実益とはこういうことを言うのだろう。ビジネスは順調に推移した。87年には同様の事業を手掛けるシバドを設立して事業を株式会社化する。ちなみにシバドとは、土橋(ドバシ)を逆から読んだものだ。