IT進出相次ぐ京都 実はチャレンジ精神豊か 


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 京都では近年、ITやベンチャー企業が拠点を設ける動きが目立っている。

 パナソニックは4月、家電を設計する「デザインセンター」を、京都市中京区に新設。大阪と滋賀に分散していたデザイン拠点を京都に集約した形で、国内外の優秀なデザイナーを獲得するのが狙いだ。

 福岡のロボットメーカー「テムザック」も昨年6月、京都・西陣地区に研究所を設置。すると、「欧州など海外から採用の問い合わせが増えた」(担当者)という。2年前に京都にAI開発拠点を設けた中国のIT会社「ハイシンク創研」にも、海外企業の視察が増えている。

 なぜ京都にIT企業が集うのか。京都のビジネス事情に詳しい京都学園大の宇佐美照夫特別教授は「京都企業は時代に合わせて変身するのがうまく、チャレンジ精神が豊か」と指摘する。

 世界的なゲーム機メーカーの任天堂は花札の製造から始まり、島津製作所も当初は仏具の販売から、精密機器メーカーに成長した。京都で創業した企業で売上高が1兆円を超える企業は現在4社。東京一極集中により、多くの企業で本社機能の東京移転が進むのに対し、京都企業は本社を動かさないケースが多い。

 宇佐美氏は「大阪では住友など、大財閥の下に系列の商社や金融機関ができていく垂直型の発展が進んだのに対し、京都では大勢の経営者が一国一城の主としてものづくりに励む、水平型の発展が進んだ」と分析。こうした京都の街の土壌が、IT企業を引き寄せる一つの要素とみている。