【遊技産業の視点 Weekly View】なすべきことは顧客のための変革


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 □ワールド・ワイズ・ジャパン代表LOGOSプロジェクト主幹 濱口理佳

 新年を迎え、遊技業界の組合・団体でも新年会や懇親会が開催される。先日、業界唯一の横断組織である日遊協の新年会が開催された。その場で関係者や来賓が行ったあいさつで目立った言葉が「変化の時代」「新たな遊技環境」「社会の理解」。ざっくりまとめると「社会の理解を得られる形で産業として時代にふさわしい変化を遂げる時期に来ている」といったところか。

 社会に適応できる者が生き残ることができるといわれるなか、世の中の風向きに敏感に反応し、変化を積極的に受け入れ、進化した企業だけが生き残れるということを伝えようとしているのは分かるのだが、さて「時代に適した変化」と一口でいっても、本当にあらゆる角度からの対応が求められるもの。世の中がスピード感を持って様変わりしつつあるなか、テクノロジーの進化、産業構造の変化、社会環境の変質は、世間の認識も大きく変えていくこととなる。また、遊技業界を取り巻く環境変化のキーワードをざっと考えても「キャッシュレス」「オンライン」「超高齢化と人口減少」「グローバルスタンダードのさらなる浸透」など、さまざまに思いつく。「キャッシュレス」一つを取っても、各種サービス業におけるキャッシュレス化が進むなか、出金上限付きのATMの設置が問題視されるような現状をどうしていくのか簡単に答えが出そうにない。遊技産業において今後具体的にどのような変化が求められてくるのか、その可能性に基づいたリストアップは今年の早い時期に済ませておくべきだろう。

 ただ、どのような変化を遂げるにせよ“誰のための変革なのか”は常に念頭に置いておく必要がある。なされるべき変革は、産業を支えるファンのための変革だ。ぱちんこは現在も1000万人近い人々が参加する娯楽。産業として成長してきた背景には彼らの存在がある。娯楽産業であるがゆえに、その存在意義を明確に示しにくい現状から外に目が行くのも致し方ないが、顧客がいてこその産業だ。また、その価値もぱちんこを知らない人々の前に、そこで消費する顧客が決めるものではないか。これから行われる変革が、その視点に基づいたものであってほしいと願うばかりだ。

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【プロフィル】濱口理佳

 はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。