兵庫県佐用町に世界最先端の科学分析装置が2つもある。理化学研究所が所有する大型放射光施設「スプリング8」とエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」。内部に“潜入”すると、人類にとって未知の世界をのぞかせてくれる「夢のマシン」だった。
カレー事件で全国区
平成9年に稼働したスプリング8は直径500メートル、1周約1・4キロの巨大なドーナツ形で、樹木の茂った小山の周囲を「シャンプーハット」のように取り囲んでいる。内部に入ると、「果てしなくカーブしたトンネル」という印象で、最先端の機械が整然と並ぶ。
建設費は約1100億円で、「放射光」と呼ぶ強力な光を生み出す。
光の速さぐらいに加速させた電子の進行方向を磁石で曲げると、レントゲン撮影の100億倍の明るさの「放射光」が出てくる。この放射光を当てると、従来は分析できなかった物質の細かい動きが観察できる仕組み。いわば、超高性能の「顕微鏡」だ。