信販会社を通じた暴力団員らへの融資問題をめぐり、みずほ銀行の持ち株会社、みずほフィナンシャルグループ(FG)がようやく会見を開き、経営幹部が事態の説明にあたった。金融庁による業務改善命令で問題が表面化してから1週間。なぜ実態を把握しながら2年も放置し、経営トップに報告が上がらなかったのか。岡部俊胤副社長の説明から透けて見えるのは、名ばかりで全く機能しなかったコンプライアンス(法令順守)体制のお粗末さだった。
「認識が甘かった。反社会的勢力排除の姿勢をもう一度徹底したい」。岡部氏はそう述べ、唇をかんだ。
9月27日に業務改善命令を出した金融庁が問題視したのは、みずほ銀が提携ローンを通じた融資先に反社会的勢力がいると認識しながら、情報がコンプライアンス担当の役員でとどまり、取引停止などの対応を2年以上もとらずに放置した点だ。
岡部氏によると、みずほ銀が実態を把握した2010年12月以降、コンプライアンス担当を務めた役員は4人おり、担当を交代する際には「(暴力団への)問題の取引件数と総額」が引き継がれていた。「法令順守」の担当者が問題の融資を隠蔽(いんぺい)し続けてきたことになる。