(17:00~18:22)
《午後3時に始まった会見は予定の2時間を過ぎても終わる気配はない。むしろ、質疑を求める記者の挙手はますます増えるばかりだ》
《理化学研究所の笹井芳樹発生・再生科学総合研究センター副センター長(52)に疲れた様子はうかがえない。背筋をぴんと伸ばした姿勢を保ったままだ》
《記者の質問は、iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大教授(51)との関係に及んだ》
《平成10年に36歳の若さで、京都大教授の座に就いた笹井氏。ノーベル賞争いでリードしているかのようにみえたものの、笹井氏を追い越すかのように山中氏が24年に受賞した。年齢が近く、研究分野の近いこの2人のエリート科学者は、常にライバル関係にあったとされている》
--1月の記者会見でのiPS細胞と比較した広報には、山中氏への対抗意識があったのではないか
笹井氏「そうしたことはありません」
《笹井氏は即座に、冷ややかに否定する。そして、続ける》
「山中先生と僕は十分に強い信頼関係を持っています。(山中氏は)私が京大を辞めた後、次を受け継がれた教授で、非常に素晴らしい人が継いでくれたと思う」
《笹井氏はこれまで「私」と一人称を用いていたが、この場で初めて、自身を「僕」と称した》
「iPS細胞は100歳を超える方の皮膚からも作れる。一方、STAP細胞は生後1週間のマウスでしか作れない。利用度の優位性が全然違う。(1月の広報で)強調したかったのは、今回の方法はiPS細胞の新手の作り方ではなく、原理が違うということ。原理が違うのであれば、iPSとは違う使い方、切れた手が再生するなど、そうした研究に繋がるのではないかと強調したつもりです」