小渕優子前経済産業相(40)=群馬5区=関連の政治団体をめぐる不透明収支問題は30日、東京地検特捜部が、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長(66)の自宅など関係先への強制捜査に乗り出したことで新たな局面を迎えた。折田氏は秘書退職後も同県高崎市の地元事務所を実質的に取り仕切り、「県政界のドン」とも呼ばれていた。
東京地検特捜部が家宅捜索に入った中之条町の折田氏の自宅周辺は同日午前、駆けつけた報道陣で物々しい雰囲気となった。高崎市の事務所にも報道陣が駆けつけたが、窓のカーテンが閉め切られ、中の様子は伺い知れなかった。
衆議院第2議員会館の小渕氏の東京事務所でも秘書らが慌ただしく出入りするなど対応に追われていた。事務所関係者は「折田氏と連絡が取れず、今は何もコメントできない」と言葉少なに話した。
関係者によると、折田氏は小渕氏の父、恵三元首相が初当選した頃から小渕事務所で務め始め、30年以上の間、父娘の2代にわたり秘書として仕えた。平成12年に恵三氏が急死し、事務所スタッフが代替わりする中で実質的な地元トップとして君臨するようになったという。
ある県政関係者は「19年の群馬県知事選で折田氏は資金の采配から票の取りまとめまで仕切り、苦戦が伝えられた大沢正明氏を形勢逆転して初当選させた。これが折田氏を神格化させたと地元で言われている」と明かす。
県政界をも左右するほどの有力者だったという折田氏。今月20日、問題となった収支報告書を作成、提出したことを自ら明かし、町長辞職を表明した。その直前には、周囲に「俺がやるしかない」と神妙に語っていたといい、関係者は「(折田氏が)すべての責任を負う覚悟をしている」と感じたという。