阪堺電車からめぐむ保育園に引き取られた定期運行する国内最古の「モ161形」車両。園児の学びの場として第2の車両人生を歩む=大阪市東住吉区【拡大】
大阪市と堺市を結ぶ路面電車「阪堺電車」で現役最古の営業車両として走行している「モ161形」の1両が、戦前から80年以上にわたる勤めを終えて10月、大阪市東住吉区のめぐむ保育園に譲渡された。運行する阪堺電気軌道(同市住吉区)が解体を惜しみ、引き取り手を探していた。岡田正之園長(75)は「子供たちのマナー教育に活用したい」と第二の車両人生に期待を寄せる。
「来た、来た」。10月5日午前5時ごろ、鮮やかな緑色のモ161形がトレーラーでめぐむ保育園に運び込まれると、集まった約50人の鉄道ファンや近隣住民から歓声が上がった。
車体はクレーン車を使い、園庭に敷いたレールに設置。阪堺電気軌道のあびこ道車庫(同市住吉区)から始まった搬送作業は、約5時間の“長旅”だった。