アジア各国で知的財産制度の整備を支援するため、特許庁が特許審査官の海外派遣を拡大することが11日、分かった。年度内に初めてマレーシアとインドネシアに派遣するほか、地域の知財拠点を目指すシンガポールの特許機関には、日本人審査官が幹部として長期赴任する。各国で特許認定を判断する審査官を指導しながら、“日本式”の移入を通じて日系企業による知財ビジネスを後押しする。
特許庁は21カ国・地域に審査協力実績がある。日系の進出が加速するアジアでは昨年度、インドやベトナムなどに新たに派遣。さらに年度内にマレーシアとインドネシアにも送り出す。アジアでは日本の制度が進んでおり、特許庁は審査官派遣や各国からの研修受け入れに協力してきた。
これまで派遣期間は長くて3カ月だった。特許庁は派遣国を増やすほか派遣期間を長くする。シンガポール知的財産庁(IPOS)に審査官を15日に赴任させ、IPOSに数人しかいない「上級審査官」として電機・IT(情報技術)分野の審査業務を3年程度担当させる。