記者会見した斎藤憲彦さん=24日、東京・霞が関の司法記者クラブ【拡大】
「iPod(アイポッド)」に使用されている操作盤「クリックホイール」に関してアップル側の特許権侵害を認めた知財高裁判決。原告の斎藤憲彦さんは判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「権利が認められたことには感謝しているが、(賠償の)金額には満足がいかない」と、賠償額の上積みを認めなかった控訴審判決に悔しさをにじませた。
IT関連の2社を経て、ソフトウエア開発を行う自身の会社を立ち上げた斎藤さん。最盛期には約50人の社員を雇ったが、バブル崩壊後に仕事が急減。自身だけでの会社運営を余儀なくされ、「自分の頭一つに頼るしかない」と、経験を生かして電子機器の便利な操作技術のアイデアを絞り出した。
クリックホイールは斎藤さんの最初の発明。「アイポッドを魅力的にした自負がある。相手がどんなに大きな会社でも、自分が正しいと思ったら、最後まで闘うべきだと思った」と訴訟を起こしたという。
まだ特許出願していないアイデアもあるが、「日本で出願したから、この程度(の賠償額)になってしまったとすると、最初に海外で出願すべきかもしれない」との気持ちを吐露。「多くの日本の中小企業、発明家に夢と希望を与える結果が欲しかったが、果たせなかった」と振り返った。