中国国家知識産権局(SIPO)によると、2015年の中国国内の特許出願件数が初の100万件を突破して110万件に達し、世界1位を5年連続で守った。日本は1998~2006年に40万件を超える大量出願が続いたが、リーマン・ショックを境に減少傾向になり、15年は30年前と同水準の32万件前後にとどまったとみられる。高度成長が失速したとの観測が世界の金融市場を混乱させる中、中国の知財戦略はどう変わるのだろうか。
中国の知財について現状と課題をまとめた「中国知的財産権発展報告2015」(知財青書)によると、SIPOは、最初の「国家知的財産権戦略綱要」を策定した08~13年の6年間で知財の経済成長への寄与度が23%あったほか、広大な中国の地域経済格差が知財と密接に関連していると説明し、今後も知財獲得の速度を緩めないという意気込みを見せた。
しかし、大量出願の裏には助成金や公共事業の受注といった奨励策がある上、「内容が日本企業の特許と同じ場合もある」(日本の大手製造業知財部)という粗製濫造(らんぞう)ぶりもかねてから指摘されている。膨大な出願量の前に審査の質も問われ、SIPOも知財青書で国際的に見れば低い知財の品質を改善する必要性に触れている。