「成長戦略、アベノミクスを推進するには、誰もがわが国の各業種・製品分野、個々の企業に内在する技術力の価値やその状況、経年による推移を第三者的視点から把握し理解できるようになることが極めて重要だと思う」と語るのは、特許価値評価手法「YKS」(Yield of technology measured by Kudo & associates System)の開発で知られる工藤一郎国際特許事務所(東京都千代田区)の工藤一郎所長・弁理士だ。
同所はこのほど、YKSをベースとしたさまざまな切り口の分析リポートをまとめた「技術競争力パッケージレポート」の提供を始めた。企業の知財部門だけではなく、戦略部門、投資家向け広報部門の担当者、企業へ投融資を行う証券会社や銀行の調査・審査部門、事業買収部門の担当者など幅広い層での活用を想定し、誰にでも理解しやすい内容とすることに留意している。
従来、技術は技術者、技術が権利化された特許は知財担当者が独自に評価して経営へ報告していたが、企業としてより的確な判断や将来の戦略を策定するには、自社と他社の活動(意志)を反映した技術や特許の客観的評価とその流れを知ることが必要になる。そこで同所が10年ほど前から開発してきたのが特許価値評価指標「YK値」と特許投資度指標「YK3値」だ。YK値は出願中、権利化後に競合他社から受ける権利化阻止行動やその費用を当該特許の価値として指標化し、逆にYK3値は出願企業自身が特許獲得・維持へ向けてかけた手間や費用を指標化したものだ。ともにYKSの柱となる指標である。