□21世紀政策研究所 研究副主幹 国際環境経済研究所 理事・主席研究員 竹内純子
■交渉の場から成果報告会、マッチングの場へ
11月7日から18日までモロッコ・マラケシュで開催されたCOP22(国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議)。COP21という山場を越えた直後とあって、事前から言われていた通り、取り立てて大きな進展も目立つ展開もなかった。
当初、COP22に期待されていたことは、パリ協定を機に醸成された前向きなモメンタム(勢い)を維持することと、今後のスケジュールを確定させることだった。予想をはるかに上回るスピードで各国の批准手続きが進み、会期前にパリ協定発効が確定したことを祝い、航空業界の自主的な排出量取引導入や海運分野での燃費報告制度導入などに象徴される前向きな流れを維持することが期待されていたのである。11月8日に行われた米国大統領選挙の結果が与える影響が懸念されたが、今回の交渉そのものには影響はなかった。参加者には動揺も見られたものの、今の段階では次期大統領に決まったトランプ氏がどのような政策を採るか推測の域を出ないこともあって、現実を直視できていないのではないかと思うほど、前向きな空気が保たれていたように感じた。
もう1つ、具体的な成果として期待されたのは、パリ協定の詳細ルール(以下、ルールブック)に関する作業計画策定である。これは2018年のCOP24での採択を目指すことが決定した。17年にドイツ・ボンで開催されるCOP23(議長国はフィジー)で、その作業の進捗確認が行われる。