
インタビューに応じる、日本郵政グループ女子陸上部の高橋昌彦監督=12月5日、東京都小金井市(宮崎瑞穂撮影)【拡大】
「5年で入賞を目指す」と“公約”したのは創部した平成26年4月。それでも内心は「厳しいかな」と思っていたが、それから3年足らずの11月27日、全日本実業団対抗女子駅伝でいきなり優勝し、陸上界に衝撃をもたらした。
「何年かかけて優勝を狙えるようになってから感動シーンを味わうつもりだった」が、若いチームが想定外の頑張りで一挙に頂点に登り詰めてしまった。10日が過ぎて「本当に勝ったんだ」と勝利の味を噛みしめている。
19年前に積水化学工業女子陸上部のコーチを務めて以来、指導歴は長い。しかし、監督を務めてからは企業陸上部の廃部が相次いだ。平成23年4月には東京電力の長距離・駅伝チームの監督に予定だったが、3月の東日本大震災の影響で休部となった。
“浪人”していた高橋さんの携帯電話が鳴ったのは妻との結婚記念日の食事中。電話の主と数日後に会い、日本郵政がつくる女子陸上部の監督をやらないかと誘われた。二つ返事で引き受けたが、民営化途上の日本郵政は経営トップが相次ぎ交代。創部までは難産だった。
新築の女子寮には最新のマシンが並ぶトレーニングルームも完備。監督業を諦めかけた自分に声をかけてくれ、部を支援してくれた会社に感謝の気持ちは強い。「勝つことができてようやくお返しができた」と安堵する。