□NRIサイバーパテント・高野誠司社長
野村総合研究所系の知財サービス大手、NRIサイバーパテント(東京都千代田区)は2日、国内初の有料インターネット特許検索サービス開始から20周年を迎えた。創業者の高野誠司社長に展望などを聞いた。
--野村総研のベンチャー部門からスタートした
「そうだ。会社設立は2001年になる。サービスコンセプトは“研究者でも使える”。当時のオンライン特許検索は1機関の独占。接続・検索料がかかり公報は郵送提供、高額で検索のプロ向け仕様だった。これに対して当社はグラフィカルユーザーインターフェースを導入、接続・検索料はなし、公報は画面で見られて、閲覧分に課金する方式のため低額と利用者層を一気拡大する戦略を実行し、すぐ数百社の契約申し込みが集まった」
--多くのサービス事業者が追随した
「参入は増えたが、高付加価値化は民間の役目と考え、PDFでの公報提供をはじめ業界初のサービスを次々と打ち出した。野村総研が保有していた概念検索や文字列の頻度などから情報を得るテキストマイニングといった新技術もいち早く取り入れた。当初は利用者から疑念の声も流れたが、便利さや使いやすさに気付くと利用者は爆発的に増え、浸透していった」
--20年間で利用者のニーズは変わったのか
「大企業の知財部門では検索、管理、商標など各専門の担当に分かれ、それらのシステムや提供事業者も分かれていた。近年の業務効率化で担当者の兼務や業務間の連携、データの連動性が求められる傾向にあり、事業者も一体化、連携しつつある。今後5年から10年でこの流れが加速する。中長期経営計画を進める中で、企業の知財業務の効率化や高度化の支援への参入を考えている」