タイ新憲法下で選挙の行方混沌 選管の公平さに疑問、強まる不信 (1/3ページ)

2017.6.9 05:00

無効となった2014年総選挙の投票の様子。首都圏ではほぼ正常に実施されたが、反タクシン派の多い南部では妨害行為が相次いだ=2014年2月、バンコク
無効となった2014年総選挙の投票の様子。首都圏ではほぼ正常に実施されたが、反タクシン派の多い南部では妨害行為が相次いだ=2014年2月、バンコク【拡大】

 軍事政権下のタイで新憲法が公布・施行されて2カ月。軍政は「民政復帰」に向けた新たなロードマップ(行程表)に従い、10月下旬に予定されている前国王の火葬の後、選挙関連法の整備を本格化させ、来年後半の総選挙実施の絵図を描く。だが、ここに来て3年前の軍事クーデターの影の立役者ともされる選挙管理委員会に対する不信がにわかに浮上し、新たな火種となり始めている。選挙を公正に取り仕切るはずの選管がなぜ批判の矢面に立たされるのか。

 ◆法学者が批判

 「たとえ新しい憲法に基づく総選挙が実施されても、タクシン派が有利と知れば、また選管はサボタージュに動くに違いない。前回選挙で選管の信頼は地に落ちた。その総括ができないまま実施しても何の意味もない。非中立性こそが問題だ」

 こう辛辣(しんらつ)に選管批判を口にするのは、タイ王立大学の法学部で教鞭(きょうべん)を取る法律学者だ。軍政下では表立って意見を言えず、匿名での取材対応となった。それだけに歯に衣(きぬ)着せぬ発言が口を突いて出る。「2014年クーデターも軍が率先して引き起こしたのではない。選管が選挙を実施せず下院議員不存在の事態を招いた結果、立法権も行政権も機能しなくなり、やむなく軍が介入に及んだのだ」

 当時の経過を整理してみる。混乱のきっかけは13年12月9日のインラック首相(当時)の下院解散だった。これに対し、最大野党民主党を支持する反タクシン派は、与党タクシン派に勝利できないことが分かると総選挙のボイコットを表明。立候補受付や投票などを力で阻止する行動に及んだ。この時、事実上の後ろ盾となったのが忠実に選挙を実施すべき立場にあった中央選挙管理委員会だった。

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