デンソーへの12億円追徴課税見直しか 最高裁、租税回避地の子会社めぐり

 海外のタックスヘイブン(租税回避地)にある子会社の所得が、親会社の自動車部品メーカー大手デンソーへの課税対象となるかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は、上告審弁論を9月26日に開くと決めた。2審の結論を変更するのに必要な弁論が開かれることから、課税対象になると判断し、デンソーへの約12億円の追徴課税処分を認めた2審名古屋高裁判決が見直される可能性がある。

 不当な課税逃れを防ぐために導入された「タックスヘイブン対策税制」は、法人税率が低い国・地域にある子会社の所得は日本の親会社の所得に合算し、課税対象にすると定めている。ただし、株式の保有以外の事業が子会社の「主たる事業」と認められた場合など一定の基準を満たせば、対策税制の適用除外となる。

 シンガポールにあるデンソーの子会社は、孫会社の株を保有している。名古屋国税局は子会社に実体がないとして対策税制を適用。平成21年3月期までの2年間で約114億円の申告漏れを指摘し、約12億円を追徴課税した。訴訟では、デンソーが追徴課税処分取り消しを求めている。

 1審名古屋地裁は、子会社の主たる事業は物流改善など、オーストラリア・アジア地域での「地域統括事業」と判断し、約12億円の追徴課税処分を取り消した。一方、2審は「株式の保有が主たる事業」とし、デンソーの請求を退けた。