【高論卓説】古代ローマから安保を考える 日本はカルタゴの二の舞い避けよ (1/3ページ)

 北朝鮮ミサイルの日本上空通過が常態化しつつある。私を含む多くの国民が、どこに落ちるか分からず、いつ核弾頭を積むかもしれない恐怖の物体と、背後で瀬戸際戦術を取る独裁者に振り回され、不安な日々を過ごしている。後述するが、日本の現状は第三次ポエニ戦争前のカルタゴともいえ、要するに軍事行動の自主決定権を事実上持っていないため、諦めが蔓延(まんえん)している。

 ただ、「国家・民族の存続」という巨視的な意味での心配は小さい。にらみ合いから「何らかの結末」を迎える場合、基本的には北朝鮮の自滅的体制崩壊か、現在パターナル(家父長的)な軍人が政権内を闊歩(かっぽ)する米国の攻撃・反撃による崩壊しかないからだ。むろん、その過程で、甚大な、あるいは小規模な被害が生じるのは望ましいはずがないが。

 さて、結論を先に書こう。ここで言いたいのは、北朝鮮危機を奇貨として、中長期的に、すなわち「国家・民族の存続」との視野で、日本の安全保障を見直そうということだ。

 対北朝鮮国連決議の調整過程を見るまでもなく、同国という緩衝地帯を重視するのは中国であり、露骨にそれを意識して行動するロシアである。経済低迷が顕著な後者はプーチン氏というすさまじいリーダーの存在が大きいだけなので、構造的・本質的には、中国の経済・軍事興隆が地域の安定を揺らす源だ。

 その中国は、いわゆるA2/AD(接近・領域拒否)と呼ばれる露骨な米国排除戦略を取り、世界最強の米国の勢力下にあるわが国への領海・領空侵犯をはじめ、友好国とは思えない航行・飛行、ドローン訓練などをしている。

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