「激動の時代、芸術が重要に」 世界文化賞授賞式でバリシニコフ氏謝辞

常陸宮殿下から顕彰メダルを授与される演劇・映像部門のミハイル・バリシニコフ氏(左)=18日、東京・元赤坂の明治記念館
常陸宮殿下から顕彰メダルを授与される演劇・映像部門のミハイル・バリシニコフ氏(左)=18日、東京・元赤坂の明治記念館【拡大】

 優れた芸術の世界的な創造者たちを顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第29回授賞式典が18日、常陸宮殿下をお迎えして東京・元赤坂の明治記念館で行われた。

 今回は、セネガルから初受賞となる音楽家、ユッスー・ンドゥール氏ら5人が受賞。歴代受賞者は29カ国、149人となった。

 式典では、日本美術協会の日枝久会長のあいさつに続き、受賞者を推薦した同賞国際顧問の6氏がスピーチ。国際顧問の中曽根康弘元首相は「受賞者の皆さんは、独自の個性を発揮しながら人間性と普遍性にあふれた作品を創作し、芸術文化の素晴らしさを人々の心に訴えている」と話した。安倍晋三首相はビデオメッセージで、「素晴らしい芸術は国境や時代を超え、共感と理解を通じて平和の礎を築く。皆さんのたゆまぬ努力に敬意を表します」と祝辞を寄せた。

 この後、常陸宮殿下から受賞者5人に顕彰メダルが授与され、日本美術協会の森英恵副会長らから感謝状が贈られた。賞金は各1500万円。続いて受賞者を代表して、バレエダンサーのミハイル・バリシニコフ氏が「人間は常に激動や混乱を生み出してきましたが、現在ほどそう言える時代はない。芸術がいっそう重要になっている今、受賞者の一人であることを誇りに思います」、ンドゥール氏は「差異は障害ではなく、むしろ豊かさをもたらす。私は今日、アフリカがいつも存在していたということを示せることを、大変うれしく思っています」と謝辞を述べた。

 授賞式に続き、カクテルレセプションと祝宴が開かれ、文化人、政財界人、各国大使ら約250人が出席。祝宴では、ンドゥール氏が自身の歌を披露するなど、国境やジャンルを超えて交歓の輪が広がった。