「外れ馬券は経費」 最高裁で確定へ 12月15日に上告審判決

 所得税の申告で競馬の外れ馬券代を経費に算入できるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は判決期日を12月15日に指定した。結論を変更するのに必要な弁論が開かれていないため、経費と認め、約1億9千万円の追徴課税処分を取り消した2審東京高裁判決が確定する見通し。

 1、2審判決によると、原告の北海道の男性は平成22年までの6年間に、インターネットで計約72億7千万円分の馬券を購入し、計約5億7千万円の利益を得た。払戻金は「雑所得」に当たるとして、外れ馬券分を経費に算入して申告。札幌国税局は払戻金を「一時所得」と認定し、外れ馬券分を経費と認めなかったたため、男性が課税処分の取り消しを求めていた。

 外れ馬券をめぐっては、最高裁が平成27年3月、自動購入ソフトを使ってネットで大量の馬券を購入していた大阪の男性の刑事裁判で、馬券購入は「営利目的の継続的行為」で、払戻金は雑所得にあたると認定。外れ馬券分を経費と認める判断を示していた。

 北海道の男性の場合は、ソフトを使わずにレースごとに結果を予想して馬券を購入しており、1審東京地裁は「経済的活動の実態があるとはいえない」として課税処分は適法とした。

 一方、2審は「男性は多額の利益を恒常的に上げていた」と判断。最高裁のケースと「購入方法に本質的な違いはない」とし、外れ馬券分を経費と認めて課税処分を取り消した。