松竹と寺田倉庫、文化財修復などで合弁会社 日本文化継承・再生に民間の力

 松竹と倉庫業を手掛ける寺田倉庫(東京都品川区)は、文化財の修復事業などを手掛ける合弁会社を設立した。文化財の保護や維持管理をめぐっては、財政難から公的予算による補修費用の工面が難しかったり、修復の担い手となる人材が高齢化によって年々減っていたりするなどの課題がある。両社はそれぞれの経営資源を持ち寄ることで日本文化の継承、再生の一翼を担う。

 新会社「TSプロモート」は11月28日付で設立、今月1日から業務を始めた。

 松竹の迫本淳一社長と寺田倉庫の中野善寿社長の2人が共同社長として経営にあたる。本社は、松竹の本社がある東劇ビル(東京都中央区)に置く。資本金は3000万円で、寺田倉庫が80%、松竹が20%を出資する。

 新会社は、日本で最も文化財が密集している京都を中心に事業を展開する。文化財の修復だけでなく、文化財や伝統文化などをコンセプトに据えたイベント企画などにも取り組む。

 松竹は映画や演劇、不動産などの事業の活性化を図り、そのノウハウや経営資源を生かした新規エンターテインメントの開発に力を入れている。

 また、寺田倉庫は1950年の創業以来、絵画や彫刻などの芸術品、ワインなどの保管事業を展開してきた。最適な温度や湿度の条件で保管できる倉庫などの設備を所有。繊細な美術品の保存・保管技術を持つことで知られ、最近では絵画や古美術品の修復事業にも取り組んでいる。

 文化財は国や地域の象徴的な存在であり、その喪失は経済面でも国や地域の活力を失うことにつながる。これまで国や自治体が中心だった文化財の保護や維持管理について、民間企業が新たな担い手となることで、ビジネスとしての文化財保護に対する関心が高まりそうだ。