来月にも小惑星「リュウグウ」到着へ 探査機はやぶさ2 「気持ちを引きつける何かがある」 メーカーのNECが会見

小惑星リュウグウに接近する探査機「はやぶさ2」の想像図(池下章裕氏提供)
小惑星リュウグウに接近する探査機「はやぶさ2」の想像図(池下章裕氏提供)【拡大】

  • 探査機「はやぶさ2」の小惑星到着を控え会見するNECの安達昌紀社会基盤ビジネスユニット主席主幹(左)と、大島武プロジェクトマネージャー=21日、東京都府中市の同社(草下健夫撮影)
  • 探査機「はやぶさ2」の小惑星到着を控え会見するNECの安達昌紀社会基盤ビジネスユニット主席主幹(左)と、大島武プロジェクトマネージャー=21日、東京都府中市の同社(草下健夫撮影)

 来月下旬にも小惑星「リュウグウ」に到着する探査機「はやぶさ2」の機体を設計・製造し、運用を支援しているNECの担当者が21日会見し、「機体を一番よく知るメーカーの立場から、ミスなく確実に運用できるよう最大限支援していきたい」と意気込みを語った。

 同社は機体を加速する心臓部の「イオンエンジン」や、小惑星の表面を調べる赤外線カメラなど重要な装置の製造を担当。イオンエンジンの最初の起動時には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の運用管制室で支援した。

 順調に航行していることについて、安達昌紀社会基盤ビジネスユニット主席主幹は「きちんと準備していても、実際に物事が起こるまでは不安だった。予定通りの順調な運用が続いており、ほっとしている」と話した。

 到着後は小惑星への降下など高度な運用技術を要する場面でJAXAを支援する。大島武プロジェクトマネージャーは「機体の位置を把握する作業は人手がかかる。確実に支援できるよう努力している」と話す。

 安達氏は「小惑星の形状や表面温度など、行って初めて分かることもある。JAXAの研究者を中心に、われわれも対応を考えることになるかもしれない」と、未知の星を探査する難しさに触れた。

 「探査には人間の気持ちを引きつける何かがある」と大島氏。はやぶさ2の魅力は「人類が見たことのない場所に行って数々の冒険を繰り広げ、結果を出して帰ってくることだ」と話した。

 はやぶさ2は往復約52億キロの旅路のうち既に31億キロを航行。到着に向けた最後の山場であるイオンエンジンの連続運転を6月5日まで継続し、同21日~7月5日に到着する予定だ。表面の物質を2回採取するほか、人工クレーターを作って地下の物質も採取し、32年末ごろに地球に持ち帰る。