悪名全国に…
大阪の観光名所となっている超高層ビル「あべのハルカス」から約2キロのあいりん地区は、国内有数の覚醒剤の路上販売地域として知られていた。
地元住民らによると、同地区では約20年前まで、路上に薬物を並べて売買する光景すら珍しくなかったという。覚醒剤使用後の注射器が通学路などに平然と捨てられていたこともあったとされる。
「大阪府簡易宿泊所生活衛生同業組合50年誌」によると、西成の日雇い労働者は1960年代初頭に約50万人だったが、高度経済成長とバブル経済の到来により、昭和末期には約190万人まで増加した。
労働者が寝泊まりする簡宿は最盛期の平成元年ごろは約210軒。その後、不況で日雇い労働者が約32万人まで減少した21年には簡宿も約90軒まで減った。
薬物の密売も街の盛衰と同様で、バブル崩壊後の不況や警察の取り締まり強化で下火となった。
イメージ悪化に住民怒り
それでも連綿と続いてきた密売を変えたのが26年から始まった環境浄化作戦だ。ある捜査関係者は「路上での密売人は減っている」とその成果を強調した。
この作戦で、府警は特別捜査態勢を敷き、内偵による証拠収集と容疑者の早期確保を推進。密売が日常的に行われている地域に多数の防犯カメラを設置するなど、重点的な取り締まりを行った。