国土交通省は年金や医療、雇用の社会保険に加入していない建設業者を公共工事の下請けから排除する指針(ガイドライン)を定め、平成29年4月から適用する。悪質な未加入事業者が工事をダンピング(不当廉売)して受注するケースがあり、社会保険料を適正に負担する事業者が不利益を被る悪循環を断ち切るのが狙い。大手の業界団体も、下請けが出す工事見積書に従業員の社会保険料を別枠で明記するよう求める対策に乗り出す考えで、官民一体となって就業環境の改善に乗り出す。
国交省が23年に公共工事を受注した建設事業者を対象に実施した調査によると、年金、医療、雇用の3保険すべてに加入している業者は84%にのぼる。ただ、1次下請け業者で実際に加入している従業員は55%、2次下請け業者以下では44%にとどまる。
事態を重くみた国交省は、社保に未加入の下請けを選定しないよう元請けに要請するとともに、社保への加入が確認できない作業員は現場に入ることを認めないとする指針を定めた。