大連の繁華街、「興工街」停車場前は路面電車とバス、車、リヤカーつき自転車、歩行者などが入り乱れてごった返していた。行き交う市電のほとんどは3車体が連結した新型車両で、グリーンやシルバー、ブルーなどメタリックカラーに塗装されている。この新型車両は輸入品ではなく中国製。地元・大連で製造されているそうだ。路線は201路と202路の2路線で、201路では旧車両を見つけたが、202路では新型車両しか見かけなかった。
大きな窓のある運転席をのぞいてみると、あ、またもや女性だ。写真を撮影するために何本か見送っているけれど、やってくるどの電車も老若の女性運転士が乗務している。私の見る限り、運賃箱の前に座っている車掌も女性ばかりだ。
運転士にも車掌にも、写真を撮っていいか尋ねてみたが、英語が通じない。しかたなくカメラを見せると、手を振って追い払われてしまう。あの人もこの人もかったるそうな仏頂面で、にこりともしてくれないから、声をかけるのも、ちょっとひるんでしまった。唯一、髪に大きなリボンを飾った若い女性車掌だけが、カタコトの英語で「フォト、オーケー」と言ってくれたものの目線をくれるわけでもなく、座って大きなあくびをしたり、いさぎよいほど飾らない。