□日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・江田証氏
■抗病力高める健康長寿の生活習慣
私は無医地区に生まれ、たくさんのお年寄りにかわいがられて育ちました。医師を志したのは、胃がんで亡くなることの多かった近所のお年寄りたちを助けたかったからです。
その後、内科医になり、今では毎日多いときに200人近い患者さんを診察するようになりました。たくさんの患者さんを観察していて気づくのは、同じ治療をしても、病気が長引く人と回復がはやい人がいることです。同じ日に風邪をひいても、薬を飲まずに2、3日で治る人もいれば、そのまま長引いて寝込んでしまう人もいます。骨折やがん、鬱(うつ)でも、こういった治癒における個人差が見られます。
私は、病気を治すには、患者さんご自身が持つ「ある力」が重要ではないか、と感じるようになりました。それが「レジリエンス(抵抗力・抗病力)」です。ダメージを受けても折れずに立ち直る、バネのような回復力です。レジリエンスは生まれつきの能力だけでなく、食事、運動、身の回りの環境の整え方、考え方など、生活習慣で決まります。
実はレジリエンスが高い人は、見た目が若いのです。これには科学的な因果関係があり、糖尿病も心臓病も、がん、認知症までも、病気の多くは老化と共通の原因によって引き起こされるからです。