このカエンタケ、近年は奈良県内で大量発生しているのが確認されている。昨年8~10月には、生駒山山麓(同県生駒市)で100本以上、奈良市の観光名所「若草山」の頂上付近でも1本が確認された。
愛好家の仲間とともに「キノコ観察会」を開催した際、これらのカエンタケを確認した「奈良きのこの会」の世話人、下原幸士さん(65)は「近年これほどの大量発生を見たのは初めて」といい、関係機関に注意喚起を呼びかけた。
ナラ枯れが原因?
同会によると、カエンタケが全国で確認されるようになったのは、ここ20年。昆虫が媒介する菌で樹木が枯れる「ナラ枯れ」被害の拡散と、カエンタケの発生時期や場所が重なるというが、その因果関係は明らかになっていない。
ナラ枯れは、「カシノナガキクイムシ」という体長5ミリほどの昆虫が樹木に穴を開けて潜入し、「ナラ菌」を持ち込むことで発生する。感染すると幹の中の水を運ぶ導管が詰まり、樹木が枯死する。木の葉は茶色く変色し、幹がもろくなって折れやすくなるという。