消費税率を10%に引き上げる際の導入が検討されている軽減税率。生活必需品の税率を据え置くことで家計の負担増を和らげるものだが「財政再建が進まなくなる」などと反対論は根強く、経済団体は「納税の事務負担が増える」と批判する。とりわけ中小企業は大変だという。しかし、増える事務負担は正確を期し透明性を高めるためのもの。軽視できないメリットもある。
中小企業に「悪影響」
経済界は総じて消費税率の引き上げには賛成している。政府が税源を確保して財政再建に取り組んでこそ、政府の信頼度を示す国債価格は上昇(長期金利は低下)し、企業活動の基盤は安定するからだ。
例えば、関西経済同友会は「消費税率10%への引き上げを平成29年4月に確実に実行するよう強く求める」(骨太の方針・日本再興戦略改訂2015に対する提言)。
ただ軽減税率となると、中小企業団体の大阪商工会議所が強く反対している。政府への「28年度税制改正に関する要望」では「中小企業の事務負担が著しく増大する」「軽減税率は中小企業に対する悪影響が特に大きい」などと主張した。