【ストレス社会で働く(2)】光トポグラフィー検査で鬱診断 問診を補完する客観的データ (1/2ページ)

2016.3.9 12:00

モニターを見ながら光トポグラフィー検査を受ける男性=東京都新宿区西新宿の新宿ストレスクリニック

モニターを見ながら光トポグラフィー検査を受ける男性=東京都新宿区西新宿の新宿ストレスクリニック【拡大】

 従業員自身がメンタルヘルス状態を把握し、休職、退職、自殺などを未然に防ぐ「ストレスチェック制度」が昨年12月から始まった。職場改善が期待される一方、精神科を専門とする産業医の不足など課題も指摘されている中、実際にメンタルヘルスの不調を自覚している従業員は正しい面接指導が受けられるのかという不安もあるだろう。

 「精神科医で産業医の資格を持っている先生は1千人ぐらいしかいないだろう。心療内科の先生を加えたら倍くらいにはなるが、それでも足りない」。メンタルヘルス対策を含めた従業員支援(EAP)サービスを提供するフィスメック(東京都千代田区)出版事業部の白崎哲史氏が指摘する。

 専門の産業医の不足を補うために厚生労働省は、あらかじめ決められた質問によって行う構造化面接と呼ばれるフォーマットを用意したという。その流れに従って進めれば、精神科の専門医でなくても医学的な検証できるとされるが、心許ない印象はぬぐえない。

 白崎氏は「ストレスチェック後の構造化面接は、病気であるかどうかを診るというよりは、現在の状態で働くことは可能なのか、それとも就業上の措置が必要かどうかというレベルをチェックするものです。もちろん、そこでは鬱病が想定されていますが、鬱病かどうかを診断するわけではないのです」と制度の目的を説明する。

 ストレスチェック制度で会社が面倒を診てくれるのは面接指導まで。高ストレス者と判断されても、専門医の治療を受けるのかどうかは本人にゆだねられる。

 ストレスチェックの結果を補完する客観的データになるのが、近赤外線を用いて大脳の毛細血管を測定する光トポグラフィー検査だ。昨年11月に鬱病と診断された映像製作会社に勤める30代の男性社員が新宿ストレスクリニック(東京都新宿区)の協力を得て検査を受けた。

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