“ブラック発注”通報制度 トラック業界や製造業…下請けの長時間労働を監視

2016.5.16 06:23

 長時間労働の是正に乗り出す政府は、下請け企業が元請けなど発注者から過酷な勤務を強いられる事態を打開しようと、労働基準監督署による新たな通報制度を年内にも開始する。不払いなど賃金関連の違法行為を対象としてきた仕組みを応用し、長時間労働も取り締まる。インターネット上でのサイバーパトロールも強化し、より広く深く“ブラック企業”を監視する。

 新たに始める通報制度は、まずは情報収集に基づき労基署が中小企業に立ち入り調査を実施。労使の合意なしに月80時間以上の残業をするなど、労働基準法違反にあたる長時間労働を調べる。背景に発注者による「買いたたき」があると判断すれば、中小企業庁や公正取引委員会に通報する。

 通報を受けた中小企業庁や公正取引委員会は、発注した企業に指導を行う。改善されない場合は会社名を公表したり、罰金を科したりするケースもある。

 長時間労働が問題視されているトラック業界や製造業などが、発注者からの無理な納期や価格設定により、長時間の残業や休日出勤を強いられる状況を想定している。下請けと発注者の取引内容にまで踏み込んで公的機関が監視することで、中小企業の労働環境の改善を働きかける。

 長時間労働対策として厚生労働省は、インターネット上で求人情報や口コミサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを監視するサイバーパトロールも強化。疑わしい会社は監視員が精査し、所轄の労基署に情報提供する。

 安倍晋三首相は3月末に開かれた1億総活躍国民会議で「長時間労働は少子化や女性の活躍を阻む原因となっている」と指摘。残業規制見直しなど働き過ぎの慣習を、抜本的に変える考えを表明している。

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