技能実習生、介護業界で争奪戦 来月から制度対象 受け入れ態勢整備 (1/2ページ)

ミャンマー人の技能実習生を送り出す機関が実施したセミナー。介護事業者の担当者ら約20人が参加した=23日、東京都中央区
ミャンマー人の技能実習生を送り出す機関が実施したセミナー。介護事業者の担当者ら約20人が参加した=23日、東京都中央区【拡大】

 外国人が働きながら技術を身に付ける技能実習制度に、11月から介護職種が追加される。入国は年明けになる見通しだが、深刻な人手不足を背景に実習生の採用を内定した介護事業者もあり、争奪戦は既に始まっている。人権侵害に対する罰則が設けられたが、実効性を不安視する声もある。

 費用は1人75万円

 「人手不足はもっと深刻になる。早く手を打ちましょう」。10月中旬、東京都内で開かれたミャンマー人実習生の送り出し機関「ミャンマーユニティ」のセミナー。責任者の北中彰さんの説明に、関東や静岡の介護事業者の担当者ら約20人が真剣に聞き入った。

 この送り出し機関は、日本での実習を希望するミャンマー人向けに、現地に学校を開設。介護と日本語を14カ月学んだ人を日本の介護事業者に紹介する。既に約190人が入校、うち約90人が栃木県や九州などの16事業者で採用が内定した。来年5月の来日を目指す。

 学費や渡航費など受け入れ側が負担する初期費用は1人当たり約75万円。参加した介護施設長は「日本人の応募はなく、やっと採用してもすぐ辞めて求人広告費や紹介料が無駄になる。実習生に投資するほうがいい」。

 待遇の低さや仕事の過酷さから、介護の人手不足は深刻な状態が続く。拍車を掛けるように、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には要介護認定を受ける人が604万人(15年は450万人)に増え、約38万人の介護職が不足すると政府は推計する。

業界内では制度に疑問の声も