医師退職で重粒子線治療施設稼働停止も 神奈川の県立がんセンター

 県立がんセンター(神奈川県横浜市旭区)で放射線科医師6人のうち4人が来年1月末までに退職する意向を示し、重粒子線治療施設が稼働停止になる可能性があることが19日、分かった。黒岩祐治知事は同日、「治療中の患者に不安や不信感を与えず、安定して医療を提供することが重要。医師の確保に全力で取り組む」と述べた。

 黒岩知事は「県立病院機構の運営に関わる重要な問題」としたうえで、「病院間のネットワークや医師のパイプを通じて、関係医療機関に派遣を要請するとともに、緊急公募を行っている」とした。

 そのうえで「(相次ぐ退職の背景に)何があったのか。原因を調べる必要がある」と指摘。武井政二・県保健福祉局長を委員長とする調査委員会を同日、立ち上げた。調査委ではワーキンググループを設置して、原因究明を図る。

 同センターの重粒子線治療施設は平成27年12月に稼働開始。総事業費は約120億円で炭素イオンを照射し、がん細胞消滅を図る「世界最先端のがん治療」とされる。同様の施設は、同センターを含めて全国5カ所にある。