厚労省 がん患者の働き方調査 治療と仕事両立へ環境整備

 治療で職場を長時間離れざるを得ないがん患者らの労働環境整備に向け、厚生労働省は、病院や企業、2000人超の患者を対象に、治療中の働き方の実態に関する初の大規模調査を始めた。働きながら通院するがん患者は30万人以上いるが、仕事との両立が難しく離職者も多い。調査では、治療中に患者がどう職場と関わるかのほか、病院内での仕事専用スペースの必要性なども聞き、政策に反映させる。

 がん患者の多くは就労可能年齢でがんになっている。主要企業の大半は患者の負担を軽減できる制度が未整備で、就労を希望する患者への両立支援は喫緊の課題。国が具体的な支援策を打ち出せるか注目される。

 厚労省によると、調査は全国のがん診療連携拠点病院や特定機能病院のうち約20施設と、そこで治療を受けている患者2000~3000人も対象とする。がん以外に長期療養が必要な肝炎なども含める。

 入院や通院中の患者には(1)具体的な治療の過程や内容(2)業務に関連した連絡調整など会社との関わり方(3)その頻度や実施場所-について質問する。院内での仕事専用スペースのニーズも確認する。

 病院側への調査では、看護師など実態に詳しい担当者らへのヒアリングを実施。(1)病院で既に実施している両立支援策(2)入院、通院中でも仕事を続ける患者の実態把握の現状(3)治療中に仕事をすることの是非-などについて聞く。

 さらに仕事と治療の両立支援の取り組みが先行している企業約20社も抽出し、支援の詳しい内容を調べる。回答は来年2月までに集約する予定。

 国立がん研究センターの推計によると、2013年にがんと診断されたのは86万2000人で、このうち20~64歳の「働く世代」は25万人で3分の1を占める。