前立腺と頭頸部のがんで用いる粒子線治療の保険適用拡大 患者の自己負担軽減へ

 厚生労働省は17日、がん粒子線治療について、4月から前立腺がんや頭頸部のがんの一部に公的医療保険を適用する方針を決めた。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)で同日、了承された。現在は自費だけで300万円前後かかっているが、保険適用で患者の自己負担が軽くなる。

 粒子線治療は原子核である陽子や、より重い炭素の原子核である重粒子を加速器でビームにし、がん細胞に当てて殺す治療法。従来のエックス線治療に比べ、ピンポイントで患部に照射することができる。平成28年に小児がんの陽子線治療と手術が難しい骨や筋肉のがんの重粒子線治療が、保険適用になっている。

 前立腺がんは、粒子線治療を受ける患者数が年間約1700人と最も多いが、先進医療に指定され、必要な検査代や入院費など一部にしか保険が使えない。28年にも保険適用が検討されたが「他の治療法に比べて優位性が認められない」と判断され、見送られていた。