治療中の記憶呼び戻す“ICUダイアリー” 写真、家族からの言葉…患者の表情変わる 兵庫・尼崎の看護師ら導入進める (1/3ページ)

ICUダイアリーを編集する看護師の竹村慶子さん(左)と宮本真奈美さん=昨年12月、兵庫県尼崎市の県立尼崎総合医療センター
ICUダイアリーを編集する看護師の竹村慶子さん(左)と宮本真奈美さん=昨年12月、兵庫県尼崎市の県立尼崎総合医療センター【拡大】

 兵庫県立尼崎総合医療センター(同県尼崎市)の看護師らが、集中治療室(ICU)に搬送された患者の療養記録や家族からのメッセージをダイアリー(日記)に記す取り組みを進めている。欧州では「ICUダイアリー」と呼ばれ普及しているが国内の病院ではまだ珍しく、鎮痛剤などの影響で抜け落ちた記憶を取り戻し、回復意欲を高めるなどの効果が期待できるという。(中井芳野)

日本ではまだ事例少なく

 ICUに入る患者は心肺停止や脳梗塞など一刻を争う状態のため、治療中の断片的な記憶しかない場合が多い。治療や回復の過程を記録したダイアリーは、読み返すことで患者の記憶を正す効果があるとされるほか、ICU退室後に発症が目立つ鬱状態や、体のだるさなどの予防にもつながると注目されている。

 海外では欧州を中心に20年ほど前から導入。だが、日本集中治療医学会によると、国内では学会に取り上げられた事例もまだ少ないという。

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 兵庫県立尼崎総合医療センターがダイアリーを導入したきっかけは、平成28年12月に骨盤骨折による大量出血で意識不明となり、ICUに搬送された30代の女性。1カ月後に意識が回復したものの、無表情か涙を流す姿しか見せず、リハビリにも消極的だった。