不安定雇用、世界に14億人 ILO報告 途上国のワーキングプア6割

 国際労働機関(ILO)は22日、世界の雇用に関する報告書を発表し、社会保障が十分に受けられない不安定な雇用形態で就労している人が、2017年に推計で約13億9100万人に上ったと指摘した。ワーキングプア(働く貧困層)も途上国で6割以上を占めるなど深刻で「労働人口拡大に生活水準の上昇が追い付いていない」と強調した。

 報告書は、世界経済は回復基調にあるものの「十分な雇用を創出するほどではない」と分析。17年の世界の失業者数は推計1億9300万人で、失業率は5.6%。18年も大きく改善せず失業率は5.5%と予測した。

 ILOは、自営で業務を請け負ったり家族経営で働いたりして、社会保障が原則ない状態であるのを不安定な雇用形態と定義した。不安定な雇用形態は全就労者の42.5%を占めており、特に途上国では4人のうち3人が該当。農業や商業部門で一般的になりつつあり、19年には不安定な雇用が17年に比べ3500万人増えると見積もった。

 ワーキングプアについては、途上国で1日3.1ドル(約340円)未満の購買力で生活する層がなお約1億8700万人いるとしている。

 業種別の雇用変化では、農業や製造業の雇用は世界的に減少傾向にあり、サービス業が今後の労働市場をリードするとした。(ジュネーブ 共同)