重粒子線照射でがん治療、大阪で施設が3月開院 切開必要なし、患者の負担少ない治療へ

 重粒子線をがん細胞に照射して破壊する治療施設「大阪重粒子線センター」が大阪市中央区に3月に開院するのを前に16日、内部が報道陣に公開された。装置を調整中で、重粒子線治療は今年10月をめどに始める予定。

 運営する公益財団法人「大阪国際がん治療財団」によると、同様の施設は千葉市と横浜市、前橋市、兵庫県たつの市、佐賀県鳥栖市に計5カ所ある。

 重粒子線治療は、炭素イオンを加速した重粒子線をがん細胞に照射する。病巣を狙うため、正常細胞へのダメージを抑えられるほか、外科手術のように体を切開する必要もないなど患者の負担が少ないとされる。

 センターは地上3階建て、延べ床面積約8850平方メートルで、年間1800人の治療が可能。建物は昨年10月に完成していた。

 財団は「照射自体には痛みや熱さがなく、従来の放射線治療と比べて必要な照射回数や日数も少なくて済む。仕事や日常生活をしながら通院治療ができる」としている。