短編ドラマ『声の向こうに』を公開中 声は耳から入り心へとつながる(PR)

 加齢による聴力の低下は、個人差が大きいものの、早い人は20歳代から始まると言われる。30歳代、40歳代は顕著な自覚症状がなくても、60歳代になると、急激に聞こえにくくなってしまうケースが多いようだ。

 聴力の低下は、大きな音を聞き続けることなども引き金になるが、一般的な加齢によるものは、内耳の蝸牛という器官の中にある有毛細胞の破壊が原因だ。有毛細胞の表面には「感覚毛」があり、これが音の振動を感知、電気信号に変換して脳へ伝え、人は音を認識する。有毛細胞は、年齢を重ねるとダメージも重なり、感覚毛が傷ついたり、抜けたりして、音を認識しにくくなってしまう。その結果、聞き間違いや、音が聞こえにくいという現象が起きる。

 聴力の低下は個人差があるものの、20歳代から始まる人もいる

 聴力の低下は個人差があるものの、20歳代から始まる人もいる

 難聴が進むと、生活するうえでさまざまな影響を避けられない。自分では適度な大きさと思っている話し声が、他人にとっては大きすぎるようになったり、テレビやラジオの音量も同様に大きくなりがちだ。

 周囲の状況を感知する能力も下がってしまう。前方で起きていることは目で判断できるが、目の死角の方向で起きている動きは、察知しにくくなる。例えば、道路を横断するときや、狭い道を歩いているときに、横方向や後方から自動車や自転車が近づいてきても、その接近を早い段階で認識しにくくなる。外出の際には、最大限の注意が必要になる。

 近年は、欧米を中心に、難聴が認知症のリスク要因になっているとの論文が発表されている。耳の聞こえが悪くなると、聞き返すことが増えたり、聞き間違いによって円滑な会話が難しくなる。会話を面倒に思うようになり、周囲とのコミュニケーションが減少する。他者との交流が減ると、脳への刺激も減る。また、一種の孤立状態によって精神的なストレスを抱え、ひいては認知症につながるのではないか、と指摘されている。

 耳を傾ける、耳をふさぐ、耳よりな話…。日本語には多種多様な耳にまつわる表現があるように、耳は人との関わり合いの中で重要な役割を果たしている。耳とコミュニケーションの深い関係は、声は耳から入り、心へとつながると言い換えてもいいだろう。

 こうしたメッセージを込めたドキュメンタリー風の短編ドラマ『声の向こうに』がこのほど、「声の向こうに製作委員会」(川崎市)から公開された。家族間のコミュニケーションの大切さを訴える物語には、高校生の一人娘を中心に、多忙な父親、祖父、飼い犬が登場。3人のすれ違いと、壊れかけた絆の再生を描いている。

 脚本、監督を担当し、父親役としても出演しているのは、舞台や映画製作を手掛けるデッドストックユニオン(東京都大田区)を主宰する渡辺熱氏。シリーズものの舞台『民宿チャーチの熱い夜』が代表作として知られ、今夏には16作目を上演する予定だ。

 今回の短編ドラマは娘、父、祖父の3人で暮らす家庭が舞台。娘の母(父の妻)が生きていたころは、絵に描いたような幸せな家庭だったが、母の死を境に家族のつながりは大きく変化する。

 進路に悩む娘の思いを、仕事に家事に手いっぱいの父は受け止めることができない。祖父は祖父で耳が遠くなった現実を受け入れられず、切羽詰まった孫の呼びかけに気づくことができない。家族間の小さなすきま風は、幾度も積み重なることで嵐へと発展してしまう。家族の不和を解決する糸口となったのは、第三者の善意と、難聴を自覚した祖父の行動だった…。

 見事な演技を披露した小太郎役のワンちゃん

 見事な演技を披露した小太郎役のワンちゃん

 3人のすれ違いからハッピーエンドまでをじっと見つめ、ナレーター役としてドラマを引き立てたのが、家族のペット「小太郎」役を演じた犬だ。実はこのワンちゃん、タレント犬ではなく、渡辺氏の友人の飼い犬というから驚く。製作スタッフは撮影前、うまく振る舞ってくれるのかを心配していたが、表情豊かに大役を演じ切った。

 「耳は話しを聞くためについている」

 「耳は心につながっている」

 もちろん、声優が声を吹き込んでいるのだが、まるで人の言葉を理解しているかのような自然な演技が、ドラマ中で語られるセリフを、より効果的にしている。

 脚本、監督、父親役と一人で3役を務めた渡辺熱氏

 脚本、監督、父親役と一人で3役を務めた渡辺熱氏

 ドラマを製作した「声の向こうに製作委員会」は「コミュニケーションの行き違いは、誰でも、どの家庭でも起こりうる。コミュニケーションは会話するだけではなく、話しを聞くことも重要。ドラマをひとりでも多くの方に視聴いただき、少しでも家族のコミュニケーションが円滑になるような手助けができればと思います」としている。

                (提供 ヘルシーヒアリングジャパン事務局)

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