「福祉・介護」破綻が急増 成長市場のはずが…トリプルパンチで淘汰が加速 (1/4ページ)

 2017年度の「老人福祉・介護事業」倒産は、介護保険法が施行された2000年度以降、最多の115件に達した。高齢化社会の到来で成長市場と期待されている老人福祉・介護事業だが、介護職員の人手不足が慢性化する中で業界内の淘汰が加速している。(東京商工リサーチ特別レポート)

 調査対象の老人福祉・介護事業は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。

 2017年度の老人福祉・介護事業の倒産件数は115件(前年度比7.4%増)で、前年度(107件)を上回り、年度ベースで過去最多になった。

※写真はイメージです(Getty Images)

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◆競争激化、介護報酬改定、人件費上昇の三重苦でダメージ

 負債総額は147億4100万円(前年度比38.7%増、前年度106億2700万円)で、前年度より約4割増になった。これは負債10億円以上が4件(前年度3件)発生したことが影響した。ただ、全体では負債1億円未満が93件(前年度比8.1%増、前年度86件)と全体の8割を占めており、小規模事業者の倒産が大半だった。

 2017年度の老人福祉・介護事業の倒産を四半期別でみると、2017年4-6月が26件(前年同期29件)、7-9月が31件(同33件)と、前半は減少が続いた。だが、後半に入ると10-12月が40件(同31件)、2018年1-3月が18件(同14件)と年度後半に増勢に転じ、今後の展開に目を離せなくなってきた。

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