【ワークスタイル最前線】企業と病院、橋渡し注力 テレワーク制度、長期入院・治療患者へ活用 (1/2ページ)


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 政府の働き方改革実行計画にも盛り込まれているテレワーク。出勤せずに自宅や出先などで働けるシステムを、長期の入院や通院を余儀なくされる患者が活用できるようにとの期待が出ている。一方で、仕事を続けられる環境の整備がかえって治療の妨げになり、心身への多大な負担を招くとの懸念も。厚生労働省は「治療が最優先」との立場を前提としながら、企業と病院、患者の橋渡し役の育成に力を入れる。

 手術後に業務報告

 がんと診断された患者は2013年は86万人で、うちほぼ3分の1に当たる25万人が20~64歳の働く世代だった。厚労省はこうした状況を踏まえ、労働環境整備に関する初の大規模調査に伴い、がんや心疾患の患者93人から入院・通院中の体験などを個別にヒアリングした。

 がんで数週間入院していたことがある50代男性は、手術後に体調が安定してからほぼ毎日、部下と連絡を取っていた。メールで業務の報告などのやりとりをし、指示を出すことも。男性は「病気になるのは、職場で責任のある地位に就いている年代のことが多い。病院に、仕事ができる環境が整備されていることは喜ばしい」と話す。

 脳血管疾患で急性期に1カ月、回復期に4カ月入院したという30代女性。病状が安定してからはリハビリの時間を除いて、病室のベッドで伝票の整理や入力などの作業を続けたという。女性の勤務先はテレワーク制度がなく、「仕事に限定せず何らかの形で社会とのつながりを持つことが重要」と訴え、同制度の普及に期待を寄せる。

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