そう言われれば確かにそうです。美輪様は、日本の重要なアーティストたちのミューズとして君臨してきたのでしょう。ドキュメンタリーでは、そうそうたる文化人との交流エピソードも語られています。
例えば、三島由紀夫(1925~70年)とはじめて会ったとき。相手が三島でも愛想を振りまかない美輪様に対し「かわいくない奴だな」と三島が言うと、美輪様は「かわいくなくていいんです。あたしは綺麗ですから」と言い放ち、それがきっかけで気に入られ仲良くなった話。「君は素晴らしいが95%の長所を消す5%の欠点がある。それはオレに惚れないことだ」と、三島に真顔で言われた話など。「そ~~んな欠点あるの~~?」とα波を誘発する美輪様のビブラートボイスで語られると、すごいエピソードも自慢っぽくなく素直に受け止められるのが不思議です。
そしてところどころに挿入される、若かりし美輪様の映像の、無敵で強気で圧倒的、でもどこか奥ゆかしい美しさに目を奪われます。白いファーをまとい、黒薔薇を持った美輪様が「私、悪い女ですのよ」というセリフに鳥肌が立ちました。今の髪の色も幻想的ですが、黒髪ストレートロングヘアもミステリアスです。