近年では2010年9月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件の映像が動画サイトに流出。当時の民主党政権の仙谷由人(せんごく・よしと)官房長官は「捜査書類を流出させたのは明らかな犯罪だ」とし、情報保全検討委員会を発足させた。
だが、中国人船長が釈放されるなど政府の不可解な動きに加え、このときも「知る権利」を守るため映像を公表すべきだとの声が続出。政権不信も重なり、情報保護の法制化は実現しなかった。
「秘密厳守は大前提」
安倍首相は、安全保障政策の司令塔となる日本版NSCを機能させるためにも、「秘密厳守は大前提。どうしても必要だ」と強調する。日本独自の情報収集は限界があり、米国などからの情報が欠かせない。防衛省幹部は「機密情報をもらう側の“防犯対策”がしっかりしていないと、信頼してもらえない」と指摘する。
ただ、「知る権利」が確保されるのかとの不安感はなお拭えず、みんなの党の小野次郎氏は24日の参院予算委員会で、衝突事件の映像を流出させた海保保安官を取り上げ「こういう人をどう保護するのか」と、懸念を示した。(SANKEI EXPRESS)