政府が昨年9月に尖閣諸島を国有化してから中国機の領空接近は激増。2012年度の中国機へのスクランブルは306回に上り、11年度(156回)から倍増した。今年度も4~9月で149回に達している。日中両国の防空識別圏が重なる部分は、その“主戦場”といえる空域。空自の戦闘機などがスクランブルで防空識別圏を飛行中、中国側が「対抗措置」として戦闘機を飛来させれば、不測の事態につながりかねない。小野寺五典(いつのり)防衛相は23日、防衛省内で記者団に「一方的な指定は大変危険な行為だ」と指摘。「警戒監視については従前にも増して、しっかりとした対応が必要だ」と強調した。
日中関係をめぐっては、昨年5月を最後に首脳会談が途絶えたまま。中国側の新たな強硬策で対話はさらに遠のくことになりそう。外務省の斎木昭隆(さいき・あきたか)事務次官は25日に程永華駐日大使を呼び、抗議とともに日本側の立場を伝える方針だ。
≪米、強い懸念も「協調路線」と板挟み≫
米政府筋は11月23日、中国が尖閣諸島の上空に、防空識別圏を設定したと発表したことへの強い懸念を表明した。一方、オバマ政権は中国に対する協調主義的な「関与」を強めており、「抑止」の相対的な低下が懸念される。