他方、FRBでは失業率の改善など景気回復に力強さが出てくれば、緩和縮小論が再浮上しよう。しかし、イエレン次期FRB議長は量的緩和政策を当分続ける方向のようだ。
変わらぬ海外生産策
日銀は来年4月の消費税率引き上げ後に景気が急下降すれば、異次元緩和策をさらに強化する方向だ。日本と欧米の各中央銀行のお札発行政策の違いを勘案すると、ユーロに対して円はまだまだ下がりやすい。対ドル相場は、日銀がFRBを上回る速度でお札を発行する基調を続けるので、なだらかな円安基調も変わらないだろう。
気になるのは、円安で日本の実体経済がどこまで浮上できるかだ。円安は株高を誘うし、国際展開している大企業の収益を一挙にかさ上げする。一方で、原材料の仕入れコストは上昇し、中小企業はそれを販売価格に転嫁できずに苦しんでいる。