政府が、少子高齢化に伴って激減する労働力人口の穴埋め策として、移民の大量受け入れの本格的な検討に入った。内閣府は毎年20万人を受け入れることで、合計特殊出生率が人口を維持できる2.07に回復すれば、今後100年間は人口減少を避けられると試算している。経済財政諮問会議の専門調査会を中心に議論を進め、年内に報告書をまとめる方針。現在、外国人労働者は高度人材などに制限されており、日本国籍を付与する移民の大量受け入れとなれば国策の大転換となる。
日本で働く外国人の届け出数(2013年10月末)は72万人弱で、前年より約3万5000人増えた。20万人はその6倍近い数だ。政府が移民の大量受け入れの検討に乗り出したのは、勤労世代の減少による経済や社会への影響が現実になり始めたため。成長戦略では女性や高齢者の活用を打ち出す一方で、移民も有力な選択肢として位置付けることにした。
試算では、2012年に8973万人だった20~74歳人口が、現状のままであれば2110年に2578万人に減る。しかし、移民を入れた場合は7277万人になるとしている。
だが、移民政策には雇用への影響や文化摩擦、治安悪化への懸念が強い。しかも、外国人労働者は高度な専門性や技術を持つ人材などに限定しているが、毎年20万人を受け入れることになれば高度人材だけでは難しい。単純労働に門戸を開く必要が出てくる。