【青信号で今週も】
脳が体の運動の指令を出していることはよく知られています。たとえば、右に脳卒中を起こすと左の片まひといって、左の顔や手足のまひが起きます。左の脳にトラブルがあれば、右の体に変調が起きてきます。神経の線維(せんい)は、脳の下の方で左右が交差します。脊髄にそのまま神経線維が降りてきます。そのため、トラブルを起こした脳とは左右は逆の側にまひが起きてきます。脳卒中は身近な病気なので、ご家族のリハビリテーションに付き添われた経験をされた方も多いでしょう。
このコラムで、以前「筋肉からの美しい伝令イリシン」(2013年9月23日)という文章をお書きしたことがあります。これまで、脳の指令を受けて伸びたり縮んだりして力を出すだけだと考えられていた筋肉が、実はホルモンを分泌する臓器でもあることが判明しました。
筋肉から放出されたホルモンは、褐色脂肪という燃えやすい脂肪に変えます。筋肉自身がエネルギーを得やすいように、脂肪組織に伝令を飛ばしているようにも見えます。運動することは、カロリーを消費するだけでなく、脂肪組織を燃えやすい形に変える力もあるわけです。