≪大規模災害訓練主導するNPO法人≫
作家・天童荒太(てんどう・あらた)さん(54)が、社会を支える現場を訪ねる不定期連載「だから人間は滅びない」。東日本大震災の被災地で子供たちの教育に携わる2人の若者との対話から始まったこの旅も、今回で最終回となる。
震災から3年8カ月。今年8月に発生した広島土砂災害など、日本は多くの災害に直面し続けている。最終回では、全国的にも珍しい民間主導型の大規模災害訓練など、災害に備えるつながりづくりを行っている「すぎとSOHOクラブ」(埼玉県杉戸町)と「NPO埼玉ネット」(さいたま市北区)の2つのNPO法人を訪ねた。
「ヘリコプターで上空から確認したところ、海岸に津波が押し寄せている」「液状化が発生して一般車両の通行ができない」-。緊迫感のある報告が飛び交う。これは、今年1月、杉戸町で開催された「協働型災害訓練」の様子だ。杉戸町、福島県富岡町、川内村の自治体や消防に加え、市民救助隊、医療機関、炊き出し支援部隊、さらには全日本救助犬団体協議会や自家用航空機を活用して災害支援にあたる団体まで、さまざまな活動を行う150団体から、のべ約350人が参加した。民間主導型で、これだけの団体が参加して行われる訓練は、全国的にもまれだ。