その死によって、現存する個体は同じ動物園にいる40歳のメス「ノラ」のほか、ケニアのオルペジェタ自然保護区にいる41歳のオス「スーダン」、25歳のメス「ナジン」、14歳のメス「ファツ」の3頭、そしてチェコのドゥブール・クラローベ動物園にいる高齢のメス1頭の計5頭になった。オスは1頭だけだ。
人工授精も失敗
アンガリフとノラは動物園で何度も繁殖が試みられたが、うまくいかなかった。今年10月には、オルペジェタ自然保護区にいた元気で唯一生殖能力のあった34歳のオスの「スニ」が死亡。自然繁殖による種の保存の希望が断たれたばかりだった。
自然保護区では残されたオスのスーダンの精子を使い、体外受精によるメス2頭との繁殖を試みたが、今月10日に失敗したことが判明した。
リーチェス氏によると、「キタシロサイの生殖機能は極めて複雑で、人工授精の方法が確立されていない」という。それでも、死んだアンガリフの精子は冷凍保存されており、自然保護区の若いメス2頭との人工授精を試みるほか、ミナミシロサイとの交配の可能性を探るなど、今後も種の保存のため懸命な努力を続ける。