【国際情勢分析】
中国との緊張緩和(デタント)路線を進めてきた馬英九政権下の台湾で、中国の情報機関が攻勢を強めている。軍隊の縮小方針が士気低下をもたらし、「軍関係者が中国によるスパイ工作の“草刈り場”になっている」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)というのだ。昨年11月に実施された統一地方選で、国共内戦の最前線だった金門県の県長(知事)選に出馬した退役軍人が中国の情報機関のスパイだったことが判明、中国側が台湾の選挙に“介入”した疑いも浮上している。
退役将校ら6人を起訴
自由時報(電子版)などによると、台湾の台北地方法院検察署(地検)は1月16日、中国人民解放軍の退役大尉、鎮小江容疑者が台湾の軍幹部らをターゲットにスパイ網を拡大、中国の情報機関に機密情報を流させていたとして、国家安全法違反の罪で鎮容疑者や台湾の退役陸軍少将(58)、退役空軍中佐ら計6人を起訴した。中国の情報機関に協力していた台湾の軍関係者らは10人を超え、「近年で最も大規模なスパイの摘発事案」(自由時報)と報じられた。当局が中国側に取り込まれた台湾の軍人やビジネスマンを摘発することは珍しくないが、中国籍のスパイを逮捕したのは初めてとの報道もある。